モデル例
パン屋さんって儲かるの?を聞く前に(前編)

当社はおかげ様で創業27年目を迎えることができましたが、当社は私が当初26歳の時に資金がなく撤退した安値のパン屋を買い取り創業しました。


パン屋の開業の動機は、当時の日本マクドナルド社藤田社長(現在故前会長)の著書の中で日本マクドナルド開業の動機の一文を読んだのが大きな基軸になりました。それは、アメリカニューヨークのマクドナルドにて大勢の高齢(80代世代)の方がハンバーガーを食する姿を見て、さらに欧米化が進む日本の状況を勘案し、導入動機のきっかけになるとありました。


当時の私のわずかな勤め人時代はホテルの和食調理人でありました。
確かにその当時、宿泊客の特に朝食は過半数が喫茶室からのパン食であったことも、上記著書の信憑性になり、私も今後パンが日本人にとって老若男女問わず、米食以上に日々の食生活に欠かさないものとなり、安定した事業になることを予測し、パン店開業の動機となりました。しかし、勤め人時代は、和食の職人経験しかなく、パン屋としては全くの素人での出発でありました。1日に1〜2万の売上高でパン店を買い取った借金も返せない状態で、毎日、朝3時から夜中12時帰り、体はやせ細り開業6ヶ月次点で倒産の寸前。何の技術もなく当然の結果ではありました。


最後の気力を振り絞り実施したことは、日々の仕事を早めに終わらせ深夜営業のパン工場でアルバイトし、パンの基礎技術を習得しながら、1日1〜2時間の睡眠時間を覚悟し、約1ヶ月間の修行を実施しました。その後、大手のパン屋に自身のパン店を営業しながら修行をすると言う行動を6ヶ月間続け、自身のパン店を手造りで改装し、商品構成を一から見直し、リニューアルした結果、1年6ヵ月後に素人パン店の売上高が創業当初の6倍 (月度700万)になるという結果になりました。しかし、その後、撤退したパン工場を買い取り、パン店の多店舗化に挑戦し、またもや多店舗化の素人にて本社工場撤退、他店舗撤退し、失敗。元の1ヶ店にて借金は1億単位に拡大。さらに第2次苦境を迎える結果になりました。


しかし人間とは不思議なもので、もぅ引き返せないことがはっきりすると、開き直るのです。そこからは資金がない、銀行も相手してくれないため、倒産したパン店ばかりを探しました。スーパーマーケット、ロードサイド店、田舎の駅前など。結果、売上高は拡大し会社は何とか持ちこたえましたが、確実な利益確保を多店舗化の中、社員に教育するのが第3弾の苦境として課題になりました。


出店を続けている間は何とか会社も資金繰りは回るが、実質の利益確保は出来ていない、また売上高の拡大により各税負担の問題にも苛まれる。この時点で創業15年目、社長が決断したことは、一般社員教育を一切打ち切り、オーナー教育に方針転換したこと。社長自身は勤め人時代はほとんどなく、オーナー時代が社会人のほとんど、自分の経験を教える。すなわち自分はオーナー教育しかできないと判断し、パン経営とくに試算勘定、損益勘定、投資金償却の中身を丸裸で教育し、月度達成利益の還元(約1/2)を毎月賞与として還元する方法を取った結果。社員でありながら経営者である責任者づくりの育成が完成されるに至りました。


そのおかげを持って、出店、失敗、撤退を当初繰り返しましたが、皆様のおかげでグループ
23ヶ店(平成20年度・グループ全店売上高年商10億円達成)、他方すべての皆様、お客様に感謝し現在に至ります。

代表取締役

川角 淳
 
パン屋さんって儲かるの?を聞く前に(後編)

飲食店含めパン屋で働く人たちほとんどが、一ものづくりの職人と略されるものであり、細かな経営の実務は知らないまま日々の業務を淡々とこなすのが、ほとんどであります。


特にパン屋は朝早く業務的には辛い仕事でありますが、外食産業(特に酒類飲食店)などは飲酒規制の強化にて売上ダメージを受け、牛肉、鶏肉など衛生問題などでダメージを受ける飲食店など、他社も生きにくい環境からするとパン屋ビジネスは安定した経営を望めるものであります。


しかし、何のためにパンを作るか?何を求めてパンを売るのか?を知らない。また考えていない。教えられていない。わからない。では職人の人生すら無駄にします。伝統工芸につく職人は別として、ほとんどの一般的職人と言われる社会では年齢と共に生産性が衰え、所得も並行に下落し、もともと所得額が低いにも関わらず、将来に不安を抱き生活し、挙句の果てにその職人の技術を捨て、職を転々とするなどがほとんどであります。


しかるに私たちが言いたいことは、職人は勤めていてもサラリーマンにはなるな、またサラリーマンにはなれないことを知れと言うことであります。


なぜなら、本来職人は手に職を持ち、食うには困らない社会的地位の高いものでなければなりません。すなわち、食うに困らないとは、本来経営も出来て当たり前の能力を身につけていなくてはならないのです。


パンを焼き、お客様の日々の食生活に貢献し、自身と自身の会社の繁栄を願うというのが、基本社員の場合の精神は以上だが、職人はお客様に喜んで頂いた自身の貢献度収支を毎日、毎月必ず図れと言うことである。そのことにより、会社の職人技術者としても年々経営管理職として所得向上が見込まれ、また自身の独立も叶う、食うに困らない者になるのです。


パン屋さんに関わらず、すごく繁盛し、すごく儲ける者と余り繁盛しない儲けられない者の違いは何か?


よくある話が立地条件、坪効率、商圏環境、様々ですが、仮に同一立地に3店舗を連ねて建てたとしましょう。店構え、駐車場台数、商品構成、人員数すべて同じで店をOPENさせ1ヶ月が経過した場合、同じ売上にはならないはずです。


仮に3ヶ店のうち(A)店が一番の売上で、(B)店が二番、(C)店が三番となったとしましょう。
当然、すべて同一条件ですが、競争原理は働きます。しかし、具体的にこの差の中身はなんでしょうか?


それは、「固定客様意識」につきるのです。上記、仮の(A)店職人オーナーはおそらく(B)・(C)職人オーナーより、製造中でも来店のお客様に大きい声で「いらっしゃいませ。」と笑顔で対応するでしょう。また、以下スタッフも責任者の気迫に影響され、店全体に活気が満ちあふれて、お客様に好感を特別に得られたはずです。


たったのそれだけかと思うかもしれませんが、固定客化は本来ビジネス心の根幹です。


お客様にお店に来て頂いて、職人オーナー以下スタッフが生活をさせて頂けるわけですから、ビジネス心の基本、固定客化の根幹は、「感謝の心」でしかないのです。


しかし、現在はパン屋だけに関わらず、責任者にその意識がない、自身の投資を持ってしても尚且つ意識なく、パン作りのみに没頭し、自分では一生懸命やったのに廃業倒産し、借金だけ残るもの。いったい何に対して一生懸命の「心」を使ったのか?


改めて、「何の為にパンをつくるのか?」「何を求めてパンを売るのか?」である。


食うに困らぬ職人とは「感謝の心」を完成させた者でなければなりません。


パン職人の技術がない人の場合、どれ位の期間が掛かりますかの問い合わせが多いですが、人それぞれ、器用、不器用は必ず個人差があります。


ただし、上記に触れた職人は食うに困らない者です。パン作りに比重が多い職人から始まる場合、パンを売る力比重が多い職人から始まる場合など、まず己を知ることであります。
ゼロから始める者は、はじめから経営職人の基本「使われ上手は使い上手」の心を理解しなければなりません。それを知ることで職人技術取得は早くも遅くもなります。


メンタル的説明はおき、当社指導の例職人オーナーの場合、現在3ヶ店を経営する者で、1ヶ店を経営するまでに1年2ヶ月のものが最短の実績。遅いもので、2年位、ちなみに早く挫折するものは、1ヶ月も持ちません。


私たちはゼロからの人も職人オーナー(3ヶ店経営)まで導いてきた実績がありますが、本人の努力が90%であります。強い可能性のある人格を、少しお手伝いしているに過ぎません。

 
パン屋さんって儲かるの?

前書(パン屋さんって儲かるの?を聞く前に)にて、パン屋さんを開業する前の心得について理解して頂けたら幸いです。


それでは具体的パン屋さんのお客様に、最善を尽くした結果の月度の施(ほどこ)し(収益)について具体的に説明します。


世の中の資本主義はすべて同じであります。一般のサラリーマン家庭の奥様の家計簿と同じく、まず夫の給与を売上高と想定します。各奥様は夫の給与より食費(原価・変動費)を差し引き粗利を求め、そこから子供の養育費(人件費)、通信費、水道光熱費、消耗品費その他(固定費)を差し引き、最終残高より住宅ローンを基軸として、差益が残り安心するのです。この事と基本事業収支のあり方、構造は同じです。


しかし、世の中は働き手の夫に職場での現実的な収支計画がなく、決められた給与の中で必死になる奥様の方が、収支のみについては経営者のようです。


ただ、どれだけ難しいかと言うと、家庭での食費と同じく原価(材料費)の仕入れのコントロールが重要になります。(例:売上高の30%まで)


後は、いかに投資(住宅)を安く済ませるか、賃貸の場合は家賃をいかに安く抑えるかの問題になります。私たち当社の運営教育は、他社が余り徹底しない家計簿教育を当たり前に、教えているだけに本来過ぎず、余りに世間の会社が教えていないだけかも知れません。


その理由は中小零細企業の場合、社員にほんとの収支を知られたくないと言うのが本当の理由であると思われます。なぜなら、社員に儲かれば給与、賞与をせがまれ、儲からなければ不安を抱き、辞められるのが実情であります。


私たちのグループはすべて、丸裸、経営者と社員の関係は、フィフティ・フィフティの考え方から1ヶ店の責任者は代理経営者として、毎月度賞与を提供するとしています。(利益の約1/2)


その経過経緯から現在は、全店の90%が独立採算、暖簾分けによるフランチャイズ運営となっています。

私達はパンビジネスで家族を一生守り、生活させる教育を徹底します。
各人の収支コントロールはFC契約者についても日々、収益管理を本部にて補足し、一生通じマネージメントします。

月度収支モデル

量販店(スーパーインショップ店舗)
(当社一例:夏シーズンオフ:FC店 H19.8月:31日営業)

売上高 (給与) 3,000,000 100%
原価 (食費) 900,000 30%
粗利   2,100,000 70%
人件費 (養育家族費)    
 

(店長:製造)

オーナー店長基本給与として
300,000  
 

(サブ:製造)

180,000  
 

(パート・アルバイト:販売)

279,000  
 

AM 9:00〜PM 9:00

(時給750円×
12時間×31日)
 
計 (A) 759,000 25%
通信費 6,000  
社会保険負担金 72,000  
水道光熱費 120,000  
家賃(量販モデル歩率月度10%税込) 315,000  
その他 30,000  
計 (B) 543,000 18%
(A)+(B)計 1,302,000 43%
営業利益 798,000 26%
FC手数料(3%) 94,500  
営業純利益 703,500  
消費税返還金 150,000  
税込純利益 853,500  
※上記、量販店売上規模、日商 250万〜300万 パン構成比 3%

<設備投資>/当グループ投資例(中古継承店舗)

借入金返済(住宅ローン)※設備店舗買取金
(1000万円 年利2.8%÷60回 5年返済)
190,000
差引残高 663,500
 

<月度オーナー 店長総収入>

基本給与 300,000
差引残高 663,500
総収入 963,500

※上記、実績店舗は元旦以外無休。オーナー及び社員休日補足は
本部より社員派遣1日負担金\15,000−(別途支出) 月度10日。

(総収入 ¥963,500−社員派遣費 ¥150,000 = ¥813,500)

※上記試算は、当社の予算実績(例)であり本収支利益を保証する紙表ではありません。